World Tour 1981

行き先はインドだ

その2…ニューデリーヘ

どうも、私は文章を書くと長くなる癖がある。普段の言葉は足らない方なんだが。
そんな具合でもって、かなり反省しているので既に飛行機はインド上空にあり、夜のニューデリー国際空港へと舞い降りようとしていた。 旅なんて、始まるときは唐突に始まるものなのだ。

どこでも空港というものは近代的なハロゲンランプの進入灯が一直線に伸び、エプロンの誘導灯は奇麗な青と緑の光、ターミナルには当然明るい水銀灯が灯っているものだ。ところが飛行場と思しき下界を眺めた私に見えた灯りは、黄色に近いオレンジ色。しかも暗くか細く、ちらちらと揺れてさえいるように見える。なんとあれは、夜店にあったアセチレンランプの色ぢゃよ、リーマス君!

ドアの外へ出るとそこは、生暖かい風と強烈な臭いの中であった。臭い。汚い。明るい筈のターミナルビルにも暗〜い蛍光灯しかないし、その薄暗い中で薄黒い顔の人々の眼光だけが異様に鋭い。日本を発つ前に、インドにどれ位の間行ってるつもりかと尋ねられて「三日か半年か、わかんないよ。」と冗談半分で答えていたのだが、こりゃもしかして、とんでもないところへ来ちゃったのかな。スンゲー心細い。もう帰りたいな。でもほんとに三日で帰っちゃったら、カッコわりーしな。

ま、今日のところは何処か寝る場所を確保せにゃならんし、とりあえずタクシーに乗ることにする。旅に出る前に読んだ、「地球の歩き方インド編」なる貧乏旅行者のバイブルによると、インドのタクシーは必ず法外な料金を請求し、運ちゃんは必ずハシシを売りつけて来るそうな。これは充分気をつけねばならん。しかも俺の乗り込んだタクシーのヘッドランプの球はやっぱり切れてるし、エンジンは道中何度もエンストする。大体、なんでドライバーのほかに助手席にもうひとり乗ってて、後ろの私をちらちら見ては運ちゃんとヒソヒソ話してゲヘヘヘと品悪く笑っているのだ?これは、ますます油断ならんぞ。

そして私は、旅行書の記述どおり全くそのままに、法外なタクシー料金と法外なハシシ料金(基よりハシシ自体が法外だが)を払いブンブンの頭でへらへら笑いながら、運ちゃんと結託しているはずのホテルに泊まった。やたらうるさいくせに冷気がでてこないエアコンと350ルピー(約8750円也)のホテル代(私の所持金はトラックを売り払って造った20万円だ)とこれからの三日間(少なくとも)を考えると、不安でなかなか寝付けない。

つづく


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