World Tour 1981

地球は、丸い。

 その33…もっと西へ

インドから徐々に西欧文明国に近づくにつれて、この旅行記の内容がだんだんと勢いを失って話題も少なくなっているのには、皆様もお気づきになられたことでありましょう。箱根より先は全て外国である私にとっては、それは徐々に我が家に近づくということであり、同時にそれは、普段のしがらみに満ちた生活に近づく事を意味しているわけだ。そうなるとそれは例えば夢から覚めて現実に戻るような具合で、ただ、うひゃあとか、わははとか暢気に云ってられなくなってくるわけだな。実際のところ、インドや中近東あたりに比べればアメリカなど、大阪とたいした違いはなく、ハワイなんぞは東京都に組み込んでも良いと思うくらいなわけで、熱海の街に於いては面白い話題にも乏しくなるという訳なのよ。

ドロンズの南米〜北米縦断の旅をテレビで観ていても、北上するにつれて、だんだんと人々の対応から人情味が薄れてくるのだね。バスの旅も今回が一番きつかったな。シートの質は格段に良くなってきてるはずなんだがね。ニューヨーク〜ロスアンジェルスは3日間のバスの旅であった。その間の食い物は、バーガーキングにマクダーネルズにウェンディーズにまたバーガーキングでウェンディーズだ。おーい、たまにはモスバーガーも食わせろ。

アメリカのサンドイッチは肉の量が暴力的だな。なにも、あんなに親の仇みたいに入れなくてもって思う。私の好物はユダヤ系のデリカテッセンのお惣菜とベーグル。六本木テレ朝通りに日本唯一と思われるベーグルの店があったけど、どうなったかな。最近行ってない。話は全然飛ぶけど、ハワイはダウンタウウンのホノルル警察横手辺りのSouth King にある、KEO'sってタイ・レストランが旨いよ(電話947-9988)。King St. をもっと東にいくと、ちょっと裏手でわかりにくいけど、インドからさらってきちゃった風な美人の奥様がやってるカレー屋もある。テイクアウト(こっちではTo Go だな)の店だから、本場のインドカレーがとっても安くて旨いぞ。なにしろ、アメリカの食い物にはろくなもんがないからな。ハワイついでに、ポイって知ってるかい。紫色のフエキノリみたいな食いもんだ。まずいぞー。

アメリカの家庭では、ママが「今晩はマクドナルドよ」っていうと子供達は「わーい、今日はごちそうだね」ってことになるんだ。この感覚は大人の俺には信じられないんだが、ま、うちの子供もマック大好きなんだな。そのてんは、日本も一緒なんだね。母親も料理するのが面倒なものだから、俺様が仕事や遊びで家にいない夜のメニューは、「マクドナルドのご馳走」になるらしいよ。アメリカの場合は大のおとながパンにピーナッツバターを塗ってバナナを載っけたり(これは俺もよくやる。)、挙句の果てはジャムまで塗ったり(そこまではさすがにしない。)するからな。実は俺様も今じゃあ、毎日子供とお菓子の取り合いをしてたりして。土曜日はスーパー佐渡屋が安売りするんで、一週間分のお菓子を買いだめするんだ。おう、全くどうでもいい話になっちゃったな。

バスは、ベネズエラからの不法出稼ぎ労働者やアルバカーキの家出娘、日本赤軍ゾウさんチームのテロリストなどを乗せて、3日かかってロス・アンジェルスに着いた。べつに、サン・フランシスコでも構わなかった。とにかく、西のはずれだ。日本から遠く離れようとやっきになって、インドから西へ西へと向かってついにここまできたわけだ。この先はまた海である。バスはない。しかも、私は地球が丸いということを、この時すっかり忘れていた。

というわけでカリフォルニアよりさらに西へ向かうと、そこは日出ずる国、日本であった。一年あまりに及んだボンビー旅行も、こうしてあっけない終わりを迎えた。俺もこうみえて、なかなか、さっぱりした人間だからな。

成田の空はやっぱり曇ってた。

その後の現在に至る十数年間に渡る別の旅については、また機会を改めて紹介することにしよう。

おしまい


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